【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−

「ありがとう、ナツ!大好き!」


もう一度、そう叫ぶと、先を行くお父さんの背中を追い掛けた。


ありがとう、と、心の中では何度も呟きながら。


サヨナラは苦手だから。だから、私はありがとうだけ残して行く。


ナツに出会えて、ナツとひと夏限定の青春を味わえて、ホントに良かったと思うよ。


苦しくて、切なくて、何度も泣きそうになったし、今だって別れが辛くないと言ったら嘘になるけれど。


それでも、喜びや愛情を何万倍も教えてくれた。全てで包んでくれた。


だから……ありがとう。


ひとつワガママな私が最後に願うのは、またいつか、ナツのその笑顔に、優しさに、愛に触れられたらいいなってことだけだよ。