【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−

「そういえば、結局ここって沖縄のどこなんですか?」


その、なんだか不思議な感じが続く中、何とか現実味のある会話を紡ぎ出してみた。


「ここ?ここはね、知念ってところなんだけど、言って分かる?」


私が首を振ると、ナツはクスクスと小さく笑った。


「後で穴場に連れてってやるよ。あ、それと、敬語とかいいよ。俺、そういう堅苦しいのが嫌で沖縄に移住したんだから」


垂れた大きな双眼を細めて笑い、私の頭を優しく何度か叩くと、クラブハウスのビアガーデンのようになった室内を人混みを掻き分けて歩いて行く。


私もこの場にいてもどうしようもないし、急いでその背中を追い掛けた。


何だかナツって、変な大人。