【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−

「細っ!ちゃんと食ってる?折れそー」


「え……えと、食ってましゅる」


あまりにも驚き過ぎて変な日本語を使ってしまい、しかも、異様に近いその美形の顔にドキドキとする。


これは、このドキドキはしょうがない。大人の、しかもこんな滅多にお目にかかることのできないイイ男とこんな状況になれば、誰だって……ねぇ?


「ぷはっ!可愛い反応!ましゅるって、あはは!……よし、じゃあ行こうか?君のこれからの居場所へ!」


その眩しい白い歯を見つめて無意識のうちに「うん」と頷くと、ナツは私に自分が被っていたフルフェースを被らせた。


「後ろに乗って。ちゃんと捕まっててな!」


ナツは大型バイクのタンクに積んでいたもう一つの同じフルフェースを取り出すとそれを被った。