音宮先輩は、かったるそうに部長の使っていたホチキスを持ち、紙をパチンとまとめる。 「…青の言ってることは正しい。」 「どういう意味ですか?」 「轟の『お人好し』は、良くないってこと。」 ひとつやって終わると、頬杖をついて睨むような鋭い目で私を射抜く。 ──恐い。 「…私、先生に日誌渡して来ます。」 いたたまれなくなって、逃げるように音楽室から出た。 『良くない』なんて分かってる。 私が一番知ってる。