「……見たか?」 「…あぁ」 「仁菜が笑ったぞ!」 ぽりぽりと頭を掻く涼は「まぁ、ありゃ笑ったっつーかただの苦笑いだがなぁ」と言って黒塗りの車に乗り込んだ。 「それでも!前よりは表情が柔らかくなってただろ!」 「…だなぁ」 「やっぱり芸能界にいるのがいい治療になったんだな!」 満面の笑みでそう語った壱成に聞こえない声で「…だといーけどな」と涼が呟いたのは誰も知らない。