聞きたいことは、山ほどあった。

でも、1番聞きたかったのは、こんなこと私に話していいのかってこと。

時間の決まりが厳しいなら、尚更だ。


こんなこと言われたら、未来が変わるんじゃないか。


「未来の人間は皆、恋愛感情がない。
俺が異常なんじゃない。
それが、普通なんだ」

「うそ・・・・・・」

桜のような人間ばかりが生きているの?


「異常な人口爆発を食い止めるために、世界の国々は子供の出産数を制限し出すんだ。
日本は少子化が進んでいたけど、アフリカなどの発展途上国は子供を労働力として見ていたから、子供は増えていったからな。
そして、高齢化が進み、国民の負担は増えた。
いつしか、生きるために仕事をするのではなく、仕事をするために生きるようになった」

社会の授業で習ったことが次々桜の口から出てきて、遠い世界のことだと思っていたことが、急に現実感に溢れた。


「そうやって・・・・・・人は愛することを忘れた。
子孫を残すことも、ただの行為にすぎなくなった。
仕事に集中するようになり、人口増加の動きは弱まり、次第に世界は安定していった」


全てがうまくいったように、聞こえる。

だけど、何かが間違っている気がするのは、気のせいだろうか。


「でも、恋愛感情がなくなったら、結婚はどうなるの?
仕事に集中するなら、結婚なんて面倒なだけじゃない」

良い質問だ、と言うと桜は答えた。


「結婚をしている人は、仕事でも大きく評価される。
相手が優れた人ほど、だ。
恋愛感情がないから、その人の容姿だけでなく、知識や技能も問われる。
そこで、相乗効果が出来るんだ。
より能力のある人間が、能力のある人間と結婚をして、仕事でも評価され、プラスの連鎖が続く」


うまく出来てる、と感心してしまう。

現代の不安定社会とは、大違いだ。


「まだまだ、いろいろ良い連鎖は続く」