「俺は、未来人だ。
今から、約200年後から来たんだ」
本来なら、腰を抜かすくらい驚くべき発言なのだろうが、私はさほど驚かない。
何となく、そんなことを言う予感がした。
「案外、驚かないもんだな。
本名は、同じく佐倉圭一。
未来でも、桜と呼ばれている。
年齢は、多少の誤差がある」
桜から初めて、まともな自己紹介を受けた気がする。
「年齢・・・・・・?」
「ああ。
一応、時間を使った犯罪もあるから、きまりも厳しいんだ。
時間を超える時は、5歳以上12歳以下の姿にならなければいけない」
顔には出ない私だが、やはり頭は混乱している。
「ちょっと、ちょっと待ってよ。
桜今、14歳じゃない?
規則破っちゃってるの?」
桜の体が小学生体型とは、絶対に思えない。
身長も170センチを超えているし、中学生でも大きい方の部類に入る。
「あー、俺はちょっと特別なんだ。
それに、実際は確か今年で28のような気がする」
頭を掻きながら言う桜を見て、確かにそう言われると中学生に見えないな、と思った。
大人びた言葉も、納得できた気がした。
「曖昧だね」
「もう、こっちに来て、1年経つからな」
“こっち”と聞いて、何か引っかかったものがあった。
ああ、今まで何度か感じたこの違和感は、そういうことだったのか。
「ねえ、未来はどうなってるの?
私たち人類は、ちゃんと存続してるの?」
質問攻めにするのは嫌いだが、そんな規模の大きいことを聞かされたら、私の口もいつもより8割増しで活性化する。
そんな私に少しびっくりしたのか、桜は苦笑した。
「ゆっくり、一つずつ話すから。
だから、百合は、ちゃんと聞いてほしい」