何故、こんな寒い風が吹く中、俺は海にいるんだろう。

そして、玲菜と遠くから浅川と桜を見ている。

一体、何なんだ。


「それにしても、寒いね」

「ああ。本当に。
困った奴だよな」

「迷惑かけてるって自覚がない所が、特にね」


「田上って知ってるか?」

最近、田上の浅川へのアピールが増してきている。


「知ってるもなにも、付き合ったことあるんだけど」

さらっと言い流す玲菜の言葉を飲み込むまで、多少時間がかかった。


「え。それ、知らないんだけど」

「だろうね。だって、1日で終わったもん」

「それってカウントに入るのかよ」

「まあ、ほら、告られてOKしたんだから、一応ね」

最近の若者は一体、と内心で憂鬱になりながらも、二人の関係が深くないことを知り、俺は安堵した。


「あいつ、最近浅川と仲良くないか?」


「別にいいんじゃない?
川さん、同級生で仲良く話せる人、少ないし」


「いや、正確には仲が良すぎないか?」


最初のころ、つまり1年の冬ごろまではまだ良かったんだ。

それが2年に入って、少し状況が変わった。

田上を心底から嫌っていた浅川の態度が一変してきている。

つまり、毛嫌いしてないのだ。


「ちょっと、探ってみるよ」

少し不安になったのか、玲菜も考えてくれたようだ。


その話が一段落したところで、桜と浅川がやってきた。