夏休み最終日、ええ、もちろん1年で嫌いな日ベスト3に入っちゃうくらいのつわものですよ。

でも、来ちゃったものはしょうがない。来年は受験生だし、今年のようには遊べないだろうけど、まあいいや。

だって、ね。


あたしには、ゲンもいる。川さんもいる。ムカつくけど桜もいる。

それだけで十分。


「桜、結局仲直りしたんだね」


川さんは代表の会議に行っちゃって、ゲンも係の買い出しにいっちゃって、まさかの桜と2人きり。

喧嘩するには今日は暑すぎるし、なるべく温厚に頑張りたいと思います。



「するつもりじゃ、なかった」

「またまた~、素直じゃないんだから」


桜の肩を軽く叩こうとすると、ひらりとそれをかわし奴はあたしを睨みつける。

はいはい、すみません。ピッチャーの肩を叩こうとするなんて、ご無礼すみませんすみません。


「本当にこれで良かったのか、俺には分からない」

「いいんじゃない?」

「スーの言葉は軽すぎて参考にならない」

溜息混じりの桜はどうやら真剣に話をしたいようで、だからあたしはスカートのひだを直して、きちんとした姿勢で桜を見据えた。


「…話さなかったことをいつか後悔するくらいなら、未来に何かが待ってても今したいことをした方がいいよ。
あたしは桜が背中を押してくれたおかげで今の自分があって、未練も後悔も何もないの。
だから、桜にも後悔はしてほしくない」