「俺は玲菜が好きで、玲菜は俺が好き・・・・・・?」

でしょ?と得意げに微笑むと、玲菜はくるりと俺に背を向けた。



「それが、運命」



やっぱり、玲菜の言うことは、俺にはよく分からなかった。

だけど、実際そんなことどうでもよくなった。


俺と玲菜が出会ったことが、偶然でも必然でも、運命だったとしても、それでもこうやって笑い合っている。


それだけで十分すぎる。


でも、こうして玲菜を見ていると、その運命論とやらが、少し分かってしまった気がする。



もし、神様が俺に3つの選択肢をくれたとしたら、俺は迷わず運命を選ぶだろう。


それが本当は、自分たちで手繰り寄せたものだったとしても、“運命”という名前をつけてあげればいいだけだ。



「ゲン、本題ずれちゃったね」


「いいんじゃないの?
あんまり良くないけど。
これから、たくさん話せるさ」


「そだね」





俺は、幸せボケしていた。


まさか、桜がこんな俺たちを見て、悲しい思いをしていたことにも、全く気付かずに。


過去に戻れたら、と思う。

だけど、玲菜いわく、戻ったからといって必然は変わらない。


でも、やっぱり俺は思う。


未来を知っていたら、こんなにも過ちは犯さないのにって。



それは、間違いない。