「うん、何気にゲンはロマンチストだ」


「男なんて、そんなもんだって。
口に出さないだけだぜ?」


ゲンは口をとがらせた。


「出してほしいよ、女子は。
じゃないと、ちっとも分かんないもん。
あたしばっかり好きみたいって思うのも、
しょうがないよね」


すかさず、ゲンは言った。



「俺に言わせれば、
玲菜を好きなのは俺ばっかだけど」


「そんなこと、ないってばー」


やや呆れた声で言うと、ゲンはあたしの頭をくしゃくしゃした。


「いいんだって。
俺、玲菜のことばっか思うの、
嫌じゃないんだから」


あたしだって、ちゃんと好きなんだけどな。


どうやったら、上手く言葉で伝えられるんだろう。




「あ、田上じゃん」



このときは、こいつの存在を何とも思っていなかったのに。


なのに、この軽いのか重いのか分かんない男のせいで、異変が起こるなんて。