何故か柳田君は焦っていた。
「…そうだね。あたしも柳田君と話がしたいな!」
あたしは笑いながら柳田君の手を引いて屋上の中心に座った。
「じゃ、食べよ!」
お弁当を開くと、今日はそばだった。
―――…う、嬉しいけど…これって女子高生のお弁当じゃないよね。
開いたふたをそのまま閉めようとしたが、柳田君には既に中身を見られていた。
「あ、そばだ。」
「こ、これね、ちょうど今日がそばだっただけだよっ!いつも…食べてるわけじゃないからねっ!」
あたしは懸命に誤解を解こうとした。
「――…べつに、そばを食べてる女子高生もいいと思うよ。」
「へ?」
あたしの呆然とした顔に柳田君は微笑んだ。
「だってさ、素が出てる女の子って俺好きだよ。無理に飾ろうとする人よりね。」
「そ、そっか…。」
「うん!」
柳田君もお弁当を開ける。
「…思ったんだけどさ。」
「ん?何?」
柳田君は箸であたしのそばを指す。
「それ、どうやって食べるの?」