柳田君の声は聞こえなかった。






その代わり、話している男の笑い声が聞こえた。






「俺はもう、幸島に告白してもいいと思うけどなぁ…。」







――――告白?!




それって、柳田君が…―――!








「な、好きなんだろ?幸島のこと。」







この答えも響いては来なかった。






「ロッカーにプレゼントが満帆になってしまう男が振られるわけねーって!」







――――…柳田君、あんた好きなの?







「だから、ものは試しだよっ!」






――――幸島薫が、好きなの?







その時、上ってきた彼らと鉢合わせになった。





まぁ、相手が上って俺が下れば必ずそんなことが来るとは思ってたけど。






柳田君は悠斗の顔を知ってるから俺のことも知ってるだろう。





そして、薫を好きなら俺たちが敵対すべき存在だということもわかるはずだ。






――――俺は柳田君の目を反らさずにじっとみつめて階段を下りる。





決して、柳田君も反らさなかった。






すれ違ったあと、俺にも絶対聞こえるであろうボリュームで言い放つ。