「ごめんな、俺もあんな風に心配されたいって心の奥で思ってたんだ…。」
悠斗は黙ってしまう。
きっと、あたしの答えが欲しいのだと思う。
「あたし、悠斗のこと怒ってないよ?」
その言葉に悠斗は過剰に反応した。
こちらを向いて、瞳に輝きを含ませて…――――。
「ゆうとのこと、心配だったの。…だって、ゆうとがあんなに寂しい顔したから…。」
「…」
悠斗は何も言わなかった。
「すごく、…すっごく心配だったんだからっ!」
悠斗は泣きそうだったけど、あたしはすでに泣いていた。
――――悠斗はあたしのこと、嫌いになったわけじゃなかった。
それだけで、
…それがわかったから、―――――
――――…あたしは“安心の涙”を流せたのだろう。
「ごめん!」
悠斗はもう一度謝ってくれた。
「…もうっ!」
今は泣きたいって思うけど、なんだか微笑みたくて…―――。
このまま、笑っていたくて…―――。
「薫、ごめんな。」
悠斗は優しく呟いた。
あたしは悠斗の傍に行き、彼の頭を撫でる。
「―――もう…、怒ってないよ。」
悠斗は安心したのか、顔が緩んだ。
「―――かおるっ!」
そう叫んだと思ったら、いきなりギュッと抱きつかれた。
「!?」
不意だったものだから、あたしは声が出なかった。
徐々に悠斗の腕があたしをきつく締めつけてくる…。

