そんな姿を見ていられなくて、俺はとっさに薫に抱きしめた。
薫は最初の一瞬は驚いて、肩を震わせたものの、その後は何もしなかった。
自分は悠太が好きなんだ、と拒否されると思っていたから…。
それも覚悟て行った行動だった。
「…止めちまえよ」
薫をさらに強く抱き締める。
もうこれ以上、薫の泣いた姿を見たくない。
たとえそれが、俺のために泣いていなくとも…。
「悠太なんか、止めちまえよ…」
代わりに俺がそばにいるから。
薫が寂しくならないようにずっと愛し続けるから…。
「―――…悠斗、」
君が俺の名を呼ぶ。
それだけで、今はなんだかくすぐったい。
でも、その次の言葉がわかるような気がして…
聞きたくないような気がして…、
俺は薫の唇を塞ごうとした…―――――。
