「薫さ、大丈夫?」



「え?大丈夫って…?」



急に俺が言った言葉にびっくりする薫。

だけど、それ以上に俺もびっくり…!


その話は薫が気を遣ってたことなのに…―――――!

と…、内心では慌てる俺。




「なんか、淋しく笑ってるから…」



でも、なんだかんだで話を進めてしまった。




「あ、…やっぱり?悠斗はすごいな、結構頑張ってたんだけど…」


ほら、その顔…―――――。


それは、いつもの薫の笑顔じゃないんだよ。

俺が見間違うはずないだろ?
君のそれが欲しくてずっと見てきたんだから…。




「…悠太がいなくなって、寂しい?」



俺は薫のそんな顔を覗き込んだ。

悠太だけじゃない、俺もいるのだと示すために。




薫は小さく頷いた。


……俺の顔は見てくれなかったけど。




「そっか…」



薫はうつむき始めてしまった。



「薫」



俺は薫の腕を掴んだ。

そして、俺の真正面に立たせる。



「顔、見せてみろ…、」



俺の言葉に必死に横に振った。



「いいからっ…!」


「…!」



俺は無理やり薫を前に向かせた。


薫は…―――――




泣いていた。





粒を頬に流して、その頬はほんのり赤く染まり、瞳は潤ませていた。



それでも彼女は唇を強く噛みしめ、これ以上涙がでないようにしていた。