邪魔できない空間にあいつは立ってるんだよ。



「モガモガ〜!」


俺は昂太の口を力強く塞いでいるのに気付いた。


まぁ、息苦しいのは仕方ないないだろ…。



「静かにしてろよ?」



そっと手を離した。



「……へいへーい」



昂太は口を尖らせて何処かに行ってしまった。



「…でもさ、さすがに時間がヤバくない?」



慎司も隣で心配し始めた。



「うーん…」



確かに、ここまで来て乗り遅れたなんて恥ずかしいことこの上ない。




そう思っていた矢先…―――。




「あ、来た」



慎司が指を差すその先には、未だかつて見たことのない悠太の引き締まった顔があった。




「行こう、みんな」



俺たちに向かって彼は言う。



決めたんだな、悠太。