恐れることはない。



俺たちは仲間だから。



悠太も、慎司も、昂太も…
そして俺も。



俺たちは必ず、帰ってこよう。




搭乗口に着いたとき、悠太はふと後ろを振り返った。



「…悠太?」



俺は声をかけてみる。



「あ、一輝…。わりぃ、ぼーとしてた」


「あ、あぁ」



やはり、気になるのだろうな。


薫ちゃんを置いていくことを…―――。



俺だって、最後ぐらいあいつに逢いたかった。


――――…ちあき。



俺は心の中であいつを呼んだ。



悠太たちには内緒だけど、俺には約束を交わした女がいる。


そいつはこの町に住んではいないが…。


まぁ、つまり
遠距離恋愛、ってやつだ。



悠太が薫ちゃんと離れたくない気持ちは痛いほどわかる、つもりだ。



俺も前の町を離れるときはあぁだったもんな。




「ほれほれ悠太〜?搭乗させないぞっ!」



――――馬鹿やろっ!



俺は昂太の頭を軽くグーで叩いた。



「…っつて、何すんだよ!かずっ…モガッ!」


「黙ってろ」


あいつは今、大切な人を思い浮かべてるんだ…。