思わず振り返ってしまった。


そこには鞄を肩にかけ、両手をポケットに突っ込んでいる悠太がいた。



―――…間違いない。見間違うはずない。



「……悠太…」


「俺のこと、怒ってるんじゃなかったの?」



「――――…怒ってなんかいないよ?」




いつもどおりの悠太に安心して、おもわず飛びついた。


「うわっ…!」


と言葉では言うものの、それがわかっていたようにしっかりあたしを受け止めた。


あたしはぎゅっと悠太の背中に腕をまわした。




「……悠太…」



あなたの前で、あなたを呼ぶのは今日は三回目。


「…なに?」



優しく呟くあなた…―――。



あなたの手があたしの腰にあてられた。



今なら…――――


……今ならあたしの気持ち、受け入れてくれますか?