「できるわけ…、ないだろ…」



俺は肩で息をしながら弱々しく呟いた。


自分でも驚くくらい、こんな俺は見たことがない。




「俺が薫を奪うことは、薫の幸せを奪うと一緒なんだよっ!俺は悲しませたくない!」




薫が笑っていてくれれば…、

そこに俺がいなくとも

それだけで、満足なんだ。



――――…好きだ


俺の言うそれと悠太君が言うそれは、薫にとって差があるんだろうな。

どんなに言葉を連ねても、悠太君の愛の言葉には届かないんだろう。




彼女が決めたんだ。




俺はその背中を後押しするだけだ。