あたしの選択肢は二つ…―――。


一歩前へ出て行き、英介くんとの距離を縮めた。



――――…英介くん、あたしは…。




悲しく紡いだ彼の言葉をふさいだ。


重なった瞬間、英介くんはつぶった瞳をピクリと動かした。


あたしはそのまま目を閉じる。




――――…ごめんね。



あなたに何度心の中で謝っただろうか。



でも、これだけは信じて?



この瞬間は、あたしはあなたを好いていますから…。


今だけは、意中の人を忘れますから…。



――――…安心して、あたしと重なっていてください。





これは、一番長くて思い入れのあるキスだったと思う。


最後の愛を、あなたに…――――。