「行こ?次のとこ」


英介くんは手を伸ばしてあたしと手を繋ぐことを促した。



不意に、悠太の手が重なる…。



あたしには今、英介くんが悠太にしか見えない。



「うん…」



こんな気持ちで彼と付き合っていていいのだろうか。この気持ちがいつか、彼を傷つけないだろうか…。



―――…ごめん、英介くん。



ステージに立つ悠太は、あたしを見ていた。そして、告げてくれた。あたしはそれに気付いたのだ。



悠太はあたしを好きでいる。



―――…あたしも



気付かなかっただけで、悠太が好きなんだ。



ずっと、前から……。