薫の背中を悠斗は見つめる… 直に姿は見えなくなってしまっていたが、薫の足跡が道路に残っているような気がしてずっと見ていた。 ―――…薫、俺は…… 「…好きなんだ、君が」 本人には言えない言葉を今紡ぐ。 きっと彼女は考えすぎて苦しむだろうから…。 きっと彼女は自分も柳田もどちらも悲しい思いをさせたくないと思ってしまうだろうから…。 ―――…叶わないのだろうな、これは。 悠斗は軽く諦めたように鼻で笑った。