あたしはコクリと小さく頷いた。



「そう、か…」



声がなんだか淋しそう。



不思議に思ったあたしはチラリと悠斗を見る。



「…ゆうと?」



あたしの真実を知ってもなお、あたしの腕を放そうとはしなかった。


悠斗はあたしを見つめ続ける。




「―――…薫、俺は……」



その眼差しはしっかりあたしをとらえていた。


次の言葉を待っていたが、悠斗は少し微笑んで腕を放してくれた。

「?」


首を傾げたあたしの頭をぽんぽんと叩いた。


「…いいんだ」


なげやりに近い言葉に思えたが、悠斗の顔はいつも通りだった。あたしは、そうなの?と伺うと何度も頷いてくれた。


「…そっか、じゃぁ、ばいばい…―――」


あたしは腑に落ちなかったが、それ以上訊こうとは思えなかった。