そのできた隙間は一瞬だった。
直に、英介くんの頭が遠くなっていくのがわかった。
――――どうしたんだろ…。
心配になって目を開けた瞬間…―――――。
…あたしの声は閉ざされた。
何も…
否定も、肯定も言わせない。
言の葉のこの字も紡がせない。
あるのは…――――
見えるのは、英介くんの頭と閉じられた瞳のみ。
―――どうして?
さっき、離れたはずじゃ…。
そう思うと同時に、唇から熱いものを感じた。
それは、他の皮膚で感じたことのある温もり…――――。
―――…人の、温もり。
あたしに重なる唇が、誰のものか考えなくてもわかる。
閉じた瞳は彼のもの…。
――――…英介、くん。
あたしは、彼と…―――――。