「…そうじゃないんだ。」 君の髪だけじゃない。 俺のこの位置から見える君の横顔も、 俺を心配そうに潤んだ瞳も、 ―――…それ以上に全部が、綺麗…なんだ。 もちろん、今の驚きながら髪の毛を確かめる君も十分綺麗だ。 そんな君は俺だけに見せていればいい。 「英介くんっ?!」 俺は、彼女の頭をギュッと…だけど優しく包み込んだ。 「君の…―――」 全てが欲しい。 ――――誰かが奪ってしまう前に…。 「君の、全てが愛しい…。」