少し俯いていたあたしの頭にそっと悠太の手が添えられる。
――――え…。
驚いて前を向くと、悠太の顔が目の前にあった。
―――…彼の顔は今までと同じように微笑んでいたけれど、その表情は本当の悲しさを隠しているようにも見えた。
悠太の顔が近づいてきたので思わずあたしは目をギュッと瞑った。
悠太の額とあたしの額がぶつかる…――――。
「――――…俺は、薫の幸せを第一に思っているから。」
すると、悠太は額も手も離して背を向けて家に入ろうとしていった。
途中、バイバイ、という声が聞こえたがあたしにはそれが遠く聞こえた。
あたしは悠太の後ろ姿を見ながら、額にそっと触れた。