――――どこに行くの?
あたしは心で悠斗にそう尋ねた。
悠斗は一瞬こちらを見たが、すぐに前を向いてしまった。
まるで…――――
――――お前には関係ない。
と言っているようだった。
あたしは二人の後ろ姿を眺める。
女の人は悠斗にたくさん話しかけているみたい…
でも、悠斗は女の人の目を見ない。
―――あの二人って、どういう関係なの?
「…あれが、悠斗の彼女。」
後ろの声に振り向くと、そこには私服の悠太がいた。
「…あれが?」
「うん。」
本当にそうなのだろうか…
「でも悠斗は、なんだか嬉しそうじゃないよ?」
「…」
好きな人が隣にいるのに、まったく嬉しい顔をしていなかった。
「――――…それは、悠斗があの子を好きじゃないからじゃない?」
「え?!」
――――好キジャナイ
それは恋人同士にあってよい言葉なのであろうか。
「な、なんで…」
あたしはまだうっすらと見える悠斗と彼女を眺める。
悠太もそっちの方向を見た。

