あたしは、英介くんに笑顔で話していればいいのかな?
英介くんが惚れたあたしの笑顔を見ていれば、嬉しい気持ちになってくれるのかな?
―――…あたしはまた、歩きだす。
きっと、そうだと思う…ううん、思いたい。
――――…あたしには、それしかできないから。
あたしが家の前まで来たとき、藤間家の玄関に誰かが立っていた。
―――あれ?誰だろう…。
双子にしては小さいし、なにより女性にみえる気が…
あたしは動くことができず、その場に立っていた。
すると、玄関から今度は双子のどちらかが出てきた。
―――…悠斗?
遠くからだったから曖昧だけど、多分あれは悠斗だ。
女の人の甲高い声が聞こえる。
…何を言っているかは、わからないけど。
女の人は悠斗の腕にしがみつき、こっちに歩いてきた。
―――あ、来る…。
あたしはただじっとして、悠斗を横目で見るしかなかった。

