―――…好き
という気持ちを知らないから、あたしはまだ英介くんを好きなのかわからない。
でも、
このままだったら、本当の好きが見つけられるんじゃないかな？
あたしはそれを信じてこれからを過ごそうと思う。
きっと、これがあたし…、ううん、あたしたちの幸せなんだと思う。
「――――…そういえば、悠斗君って付き合っているみたいだよ。」
急に英介くんが悠斗の話をもってきた。
「悠斗が？！」
英介くんは真剣な眼差しで頷いた。
「なんでも、告白は相手の彼女さんかららしいんだけど、その場で返事を返したんだって…。」
「その場で…。」
―――…信じられなかった。
悠斗はいつも悠太のそばにいて、あたしのそばにもいて…。
だから、女の子には興味がないのだとばかり思っていた。
「…淋しい？」
「え？」
英介くんは心配そうにあたしを見てくれた。
「…悠斗君が付き合うことになって。」
あたしは小さく頷いた。
英介くんは困ったようなため息をついて、あたしを抱き寄せた。
