―――…今の俺は、自分自身で制御できない。



頭が混乱し、俺の中の薫が弾けてゆく…。




一つひとつ大切にしまってあった宝物を奪われる気分になって、俺はそれを避けるように壁に枕を当てた。




だけど、やっぱり止むことはなくて…。




「あぁ、もうっ!」




ベッドに頭を押しつけた。




今の自分は、何のために居るのだろう?



薫は…、薫との思い出が消えてゆく中で、それでもなお、薫を好きでいたいと思うのは何故だろう…。





―――…あれ?




「…なんで、好きだったんだっけ?」





その理由も、俺の中じゃ曖昧だ。




――――チャララリ……、チャララリ……。





…電話だ。