走りながら疑問に思ってたことを素直に聞くと、彼は立ち上がって私の質問には答えず、近くにあった自動販売機の前に行くとポケットから小銭を取り出した。
「お詫び。好きなボタン押して」
チャリンと自動販売機に小銭を入れて振り返り、一歩右にずれたんで私は遠慮なく冷たいカフェオーレのボタンを押した。
ゴトンと取り出し口に落ちた缶を掴み、私に渡す。
12月なのに、冷たい缶が心地よく思わず両手で握る。
冷たいブラックコーヒーのボタンを押した高橋さんは、その場でプルタブを開けてゴクゴクと飲みだした。
私もプルタブを開け、一口カフェオーレを口に含む。
甘ったるい味が口の中に広がった。

