高橋さんの後について電柱のそばに行くと、高橋さんは私の後ろに向かって手を振っている。
怪訝に思って振り返ると、そこには事務所の後輩や営業の社員が10人いて。
「ちょっと片瀬さん借りるな〜現地集合ってことで」
そう言うと私の右腕を掴んで、飲み屋の立ち並ぶ商店街を走り出した。
「えっ!何?何で?」
腕を掴まれているから、必然的に足が動く。
後ろからは笑い声と一緒に「おい高橋!」と聞いたことのない佐々木さんの尖った声が聞こえた。
はぁはぁ
日頃の運動不足と煙草と忘年会で飲んだビールのせいか、息が上がる。

