「お前〜由紀ちゃんと抜け駆けの相談かよ?」
「あはは、そんなことないって」
「い〜や、あの雰囲気は抜け駆けの相談に見えた」
「「そ〜だ!そ〜だ!」」と後ろで、彼達の後輩が笑いながら拳を上げている。
中途採用の佐々木さんは、他の社員達より少し年上だ。
実際、今は年下の上司についている。
「ありゃ!片瀬さん」
抜け駆けを言いだした営業の高橋さんは私の顔を見て、びっくりしていた。
「私だけじゃなくて、他にも事務所のメンバーいてるよ」
少し離れている他の子達の方を指差しながら答える。
高橋君は顎に手を当てて、佐々木さんと私を見比べている。

