「あっ片瀬さ〜ん!待ってましたよぉ」
外に出ると、事務所の後輩達が揃って待っていた。
「ごめん。遅くなったね」
苦笑しながら近づくと、日本人形のように色の白く、眼のクリッとした後輩の前川 由紀〈マエカワ ユキ〉が『あっ』という口をしたまま固まっていた。
「由紀ちゃん、どうしたの?」
不思議に思い声を掛けると、可愛らしい顔を破綻させ固まった口が口角を上げ、思わず抱きしめたいと思えるぐらい満面の笑みを浮かべた。
「佐々木さ〜ん、片瀬さんと一緒?」
犬のような尻尾があれば千切れるんじゃないか?と思えるぐらいの勢いで、私の後ろにいた佐々木さんへと駆け付ける。

