「私は涼以外の人との人生を選んだの。だから涼とのことは・・・彼に」
ううん、涼を想ったまま結婚する私を知られたくないの。
「・・・彼に知られる前に終止符を打とうと思ったの」
彼には嘘を言ってないけど、心と言葉が食い違う。
「だから涼の事は・・・」
大好き、愛してる。
伝えたいことは決して言葉にできない。
彼に嘘は付きたくない、でも言えない本心。
これからもずっと貴方を愛していると。
ごめんなさい、涼一。
たったひとつの・・・嘘を言います。
「・・・もう忘れようと思ってる」
「真央!」
ガタンと椅子を鳴らして立ち上がった涼は、私の腕を掴む。

