「俺、結婚してるし子供もいるしこんなこと言える立場じゃないって分かってる。だけど絶対に隠し通せる自信があるから迷惑だと思われても、ダメもとで一度口説いてみようって思った」
ごめんと頭を下げる佐々木さんに頭を上げてもらうようお願いした。
「そんな謝られても」
「俺、今まで向こうから言われて付き合ってばかりで。嫁さんも同じで。自分から動こうって思えたの片瀬さんが初めてで」
頭を下げたまま話す佐々木さんの声と言葉に私は酔っていたのかもしれない。
「初めて?」
問いかけにやっと頭を上げてくれた佐々木さんの目はホントに真剣で。

