名残惜しいけど・・・ さりげなく彼の手から自分の右手を離すと、新しい煙草に手を伸ばした。 『カチッ』 左手でライターの火を包み込みながら、火を煙草の近くまで持ってきてくれた彼。 「ホストみたい」 私は煙草をくわえたまま、少し口角を上げてから、遠慮なく火を付けてもらった。 彼は静かに微笑みながら、ライターを胸ポケットに入れた。 「片瀬さん、俺の名前知ってます?」 「佐々木さん」 「いや、下の名前」 「・・・知らない」 「あはは、涼一っていいます。歳は分かります?」 「ん〜年上?」