知っていて確認している口調に私は仕方なく首を縦に振った。
「ホントは直接聞いて欲しかったんだけど」と前置きをしてから佐々木さんは話を始めた。
「俺、片瀬さんのファンって言うのは嘘。最初はホントにファンだったんだけど」
私に話をしようと思っていたのか、生ビールを2つ注文していた佐々木さんは、まだ口をつけていない新しいジョッキに手を伸ばした。
「去年の歓迎会の時、ファンじゃなくなった」
「歓迎会の時?」
「そう。前に途中で終わってたよね、話」
頷く私を見て少し柔らかくなった目に少しだけホッとした。
あまり真面目な顔ばかりで話されてもどうしていいか分からないし。

