---金曜日の19時
××駅に着いた電車から勢いよく飛び出し足早に改札に向かう。
10分前には着けるはずだったのに。
定時前にかかってきたクレームの電話に対応していて遅くなった。
電車に乗りながら『少し遅れます』とメールしたけど。
エスカレータを駆け上がり、息を切らしながら改札へと走る。
改札口の向こうには、こちらを見ている佐々木さんの姿が見える。
改札を抜けると佐々木さんの傍まで小走りで走って行き、切れる息を懸命に整えた。
「すいません、遅くなって」
「大丈夫です。走らなくても大丈夫だったのに」
優しく微笑む佐々木さんを見て、改札上にある時計に視線を移すと

