「なんかついてますか?」



彼に問いかけられるまで、凝視していた?



彼は右手をひっくり返したり、握ったり開いたりと動かしている。



「あっ・・・ごめんなさい。なんでもないから」



見とれていたことを気付かれないように、煙草を口に持っていくけど・・・



「燃え尽きてる・・・」



フィルターギリギリまで燃えた煙草は、すでに火が消えていた。



「指、火傷してない?」



彼はそう言うと私の右手をさりげなく持ち上げ、人差し指と中指を確認する。



「だ・・・大丈夫」



心臓が口から出てきそうなぐらいドキドキしていた。


理想の手に触られた私の右手は、アルコールのせいかと思われるぐらい熱い。