「俺が元いた世界が砂漠で、砂嵐に慣れてるってだけだから~。風の道をいつも破壊してるわけじゃないからね~?」

アランの弁解はどうでもいいけれど…、
また新しい不思議ワードが増えた気がして、私はもう考えるのを止めた。


ワン…
『…ウソじゃん。3回目じゃんか…』

コンちゃんはパタパタと翼を羽ばたかせ、アランの目の前で力無くそう鳴いた。


「…さぁ~!行こうかーっ?」

何も聞こえな~い、
と両手を耳に当てて歩き出す彼に、本気で付いて行って良いものか、私は悩んだ。

さっきの事も、
まるで何も無かった様に能天気に振る舞う。

気にしていた私が馬鹿みたいだ…



「…お兄ちゃん、今『砂漠』って言ったよね…?」

ハルカちゃんが前を行くアランの背を見つめて呟いた。


「……?うん、言ってたね?」

私には何の事やらサッパリだったけれど、ハルカちゃんの様子からして何か引っ掛かる内容らしい。


『…ハルカぁ、確かキース…』

「…うん、やっぱり『友達』は本当なんだよ、コン!」

二人は顔を見合わせて、瞳を輝かせて喜んでいた。