脱力感だらけの私の横で、
ハルカちゃんは仁王立ちのまま上を見上げ、身長差のある大人なはずの彼に説教する。
リュウ、改め…
『アラン』という名の彼に…。
「あぁ~あ、リュウお兄ちゃんにまた怒られるわよ!?」
「…分かってるよ~。明日、奈央を連れて会いに行くしさ~…」
アランは、そくささとハルカちゃんのお説教から逃げ、私の腰に手を回す。
そして、
強引に私を歩かせると、街の中心へ向かって進んだ。
「…さぁさぁ。今夜はこの街で休んで、明日の朝、昼がやって来る前に出発だ。」
「…出発?」
「そう。昼が来ると、この街はまた異世界へ戻っちゃうからね?さっき言ったろ?この街の住民は、昼を嫌ってるんだ。」
…そうでなくて。
「出発って…、私は一体どこへ連れて行かれるの?」
「……ぇ?」
アランの足が止まる。
まるで、世界の動きも一瞬止まったかの様に、それは重々しい沈黙だった。
「あれ…?言って…なかったっけ…?」
背後のハルカちゃんをチラチラと気にしながら、弱々しくそう聞いた。
案の定…
「――お兄ちゃん…!?」
それから、
しばらく…
アランはハルカちゃんに頭が上がらなかった。

