そして
体を半回転させながら…、
被っていたキャスケットを、
頭から外した。
七色の近道を滑り落ちている時も、空を落下している時も…、
いつでも飛ばされないよう守っていた、
あの、…帽子だ。
それをパサッと外すと…
「――…!?」
小さな男の子は…、
私の目の前で、
みるみる『大人の男性』へと、
姿を変えていく。
完全に幼児だった体型が、
私と同年代くらいの、がたいの良い青年へと……
…はぁ?マジで?
私が瞳を見開いたまま立ち尽くしていると、今まで幼かった彼が大人の表情で笑った。
「騙すつもりはなかったんだよ?」
勿論、
声も、つい先程までの可愛らしいものとは違う。
低い、甘めの声。
同じなのは、
黒い髪と、青い瞳。
それに言葉を話す口調。
「驚いた?ねぇ、驚いた?」
私の反応が薄い事に納得がいかないのか、彼は自分の顔を指差し私に返事を催促した。
「…大人びた口調のガキだとは思ってたけど…」
…今度は、ガキっぽい大人になった…。驚かせたいが為に黙ってたんだ…
はっ…と、私から失笑が漏れる。
「…だから考えてる事筒抜けですから。失礼な!」

