真っ黒い世界を灯す、
幻想的な何色もの街の明かり。

穏やかに、穏やかに…

この場に不釣り合いとしか思えない「逆さま」で渋い顔の私を照らす。

せっかく素敵な場所なのに、
…これは、切ない。



「あぁっ!ごめんなさい!」

ハルカちゃんは慌てて手の平を私に向けると、そっと瞳を閉じた。

すると、

何色とも言えぬ『何か』が、
ハルカちゃんの背中にパサッと広がった。


何色…?
色んな色、…七色?


何?
これは…

『羽根』――…?


「…綺麗…」

自然と、私の口からそんな言葉が出ていた。


「…ハルカには、妖精の血が流れているんだ。」

横から、
リュウの声が聞こえた。


妖精…?

この街の明かりと、
ハルカちゃんの羽根が発する七色の光が黒い背景に重なって…
溶け合って…

神秘的で、
とても綺麗で…。


綺麗な物を見ると心が洗われる、とそう言うけれど…
今まで、
それに納得した事は無かった。

今回は…
これは、納得…。


ハルカちゃんの羽根が、
最大限に光を放つと…

ふ…っと、
私の体に自由が戻った。