初対面の人の前では「人見知り」をして、固まってしまう私を知っている愛里は…
「…あれ?話はしてるかもしれないけど、会うのは初めてなんじゃない?」
私の態度を読み取って、新さんをそう見上げた。
多分、全員が首を傾げていた。
「いやいやー、ヒドイなぁ、奈央。常連さんなのに~?」
新さんはそう笑いながら、「これでも?」と下ろしていた瞳に掛かる前髪を後ろへと上げた。
…常連さん…?
新…?
アラタ…
…ちりんっ…
未だ鈴の音が聞こえていた。
思い当たる事…
この軽い話し方と、
この顔は見た事ある様な…
どこで…?
グルグルと…
記憶を巻き戻した後。
「――…あぁ!?」
私はそう眉間にしわを寄せながら、彼の顔を指差した。
「――はい、思い出したみたい。心配ご無用よ、皆さん。色々と知ってる仲だから~…」
あははは~…と、
新さんの笑い声だけがその場に響いていた。
「…あ~…」
よく一人で仕事帰りに行く…
近所の居酒屋の…、
アラタ店長…
カウンターに一人で座る私の話し相手。
仕事の話とか色々しちゃった気がするけど、大して気にしてなかったし…、
第一、
名字だと思ってたし…

