「――…ぇ?あれって…」
私はその光景に目を奪われたまま、疑問の声を二度あげた。
暗い…黒い空。
そこに、ぽっかりと在るのは…
青白く優しく光る…
「丸い球体」。
普段見ている「それ」とは、大きさは少し異なるけれど…
…でも。
「――…月?」
月にしか見えない。
それ以外の言い方を知らなかった。
「…綺麗でしょ?」
アランはそう笑っていた。
綺麗は綺麗だけど…、
その感動よりも勝った疑問が生まれていた。
「…アラン、ここって地球じゃないわよね…?違う世界なのよね?皆、そう言ってたよね?なのに…」
月が見える。
ここは地球だったの…?
でも、サイズが大きいし…
「奈央、…おしい!ちょっと違~う。」
…おしい?
「一度、目を閉じてご覧?」
少し戸惑いながら、
それでもアランの言う通りに瞼を閉じた。
――サァッ…
どこからともなく…
爽やかな風が一つ吹いて。
その風で思い出すのは、
あの花畑の情景。
「……開けてご覧?」
言われるままに瞳を開けて、
――…!?
私は言葉を失った。

