二つの老いた影が、
私たちを見上げて…
ゆっくりと、その手を振っているのが分かった。
「…ハルカちゃんと…」
「…キース、なの…か…?」
世界によっては、
時の流れは違うから…。
ここは…
一番永遠に近い、
時の無い場所だから…
…分からない。
二人なのかもしれないし、
違う人かもしれない。
この風の道を今降りる事は出来ないし、ちゃんと確認も出来ないけれど…
…でも。
「…向こうの世界で長い時を経て、…逢いに来てくれたのかもしれないね…」
私はそう嬉しさを噛み締めて、涙を溜めながら…
大きく大きく、
三人へと手を振った。
「…キース…?」
アランは食い入る様に、焼き付ける様にじっとその姿を見ていた。
「…キース…」
何度も何度も、
そう名前を呟いていた。
…幸せになったよ、って、
旅立つアランに、
わざわざ見せに来てくれたのかもしれないね…?
「…奈央…。俺、ちょっと…泣いちゃっていい…?」
そう私の手に力を込めて鼻をすすったから、なんだか可笑しくて。
二人で…、
少し笑いながら、
涙を流していたんだ。

