最初から…、
そうだったの…?
「人は天寿を全うする為に必死に生きていくな?辛い事も沢山ある…。『完全』な人間なんて居ないんだよ。少しくらい弱くたっていいんだよ、奈央ちゃん。」
私…
私は、完全であろうとした。
「でも、その頑張りは誰かが見ている。決して無駄じゃない。」
「…そうだよ。俺だって、ここで見てた。頑張り過ぎて、強がって…。一人で布団の中で声を殺して泣くしか出来ない奈央を、見てたよ…?」
だって…
誰にも言えなくて。
本当は弱いなんて、
自分で認めてしまったら…
もう頑張れない気がしていた。
リュウさんの言葉が風の様に、すっと私の心に入る。
「…人は助け合いながら成長していくんだよ。いつか本当に遠い未来で『完全』になる為に、6つの世界を旅してゆく。」
6つの世界を…?
今居る世界ひとつだけでは、完全には及ばないんだね。
「そう、だから焦る必要は無い。アランを見てみろ!洗礼の印が3つ…」
「ほら、これね~?」
アランの透けた額。
そこには紫色の小さな3つの点。
「アランは3つの世界を終えてこの場所に戻って来たんだがな。想い出に囚われてばかりで、困った問題児なのさ。」

