「…だからさ…、俺が居るって言ってんじゃん…。奈央?」

ふわっ…と、
後ろから腕が伸びてきて、私の体が包まれた。

私と同じ半透明の腕…。


「――…え!?」

「…俺の存在、忘れてたでしょ…。ヒドイよ?」

私がバッと横に首を捻ると、間近にアランの困った様な笑顔…

なんで…?

確かに忘れかけてたけど。
だって…
ほら、「光」だったし。

どうして…?
力を使い果たしたんじゃなかったの?


「…実は回復してたり。奈央に触れられる様に、奈央と同じ体の状態に合わせてみました~。」

ふふふ…
そう笑うアランの息が、耳に当たってくすぐったい。

…回復?
いつからしていたのよ…


「…だったら、二人にちゃんとお別れすれば良かったのに…」

「ん~、俺『お別れ』って、苦手なんだよね~?」


アランの腕、
アランの体が温かくて…

振り払う事も忘れて、
その温かさに身を委ねていた。


人恋しい、
人肌が恋しい…

ただ、それだけの理由だったんだと思う。